3つの素材 その1

パテ・ド・カンパーニュ

考えてみれば10月の「甘ぱんだ」オープンからのこの半年間、塩味よりも甘味の方を考える時が多いという、料理人として珍しい時間を過ごしてきました。

先日のお知らせの通り、明日からその「甘ぱんだ」は当面お休みします。

私の作るものは、このコロナ禍においてよく言われる「食のインフラ(個人的には好きな言葉ではありませんが)」には当たらないと思ったため休業を選択しました。自宅待機を選択したからには折角なので久々に料理に没頭しようと思います(それ以外にwebサイト制作や陶芸、開墾などやることは色々ありますが)。

私は何事にも「テーマ」を設けるのが好きな性質なので、ただ料理を作るだけでなく、「3つの素材」を決め、それをどのように生かすかを考えて作ってみます(「3つの材料だけ」で作る料理ではありません)。

今日の3つの素材は
・乾燥パプリカ
・菜の花
・ドライエイジングRALポーク
です。

調理方法はシンプルに「パテ・ド・カンパーニュ」を選択しました。

熟成肉は現在メジャーな食材になりましたが、ドライエイジングRALポークは私が10年以上前から使っているとても好きな食材のひとつです。加工肉のような弾力があり、ただソテーするだけでも味わい深くなる豚肉文化スペインが誇る食材です。

それを表面に焦げ目を付けるように焼き、玉ねぎとにんにくを合わせて、白ワイン、乾燥パプリカの戻し汁と一緒に調味しつつ軽く煮こみます。フードプロセッサーで細かめと粗め2種類に挽き、乾燥パプリカ、茹でた菜の花、ナツメグ、クローブ、ホワイトペッパーと混ぜ合わせ、テリーヌ型に入れてオーブンで蒸し焼きにしました。

バルサミコ酢のソースとナスタチウムの葉を添えています。しっかりした歯ごたえと旨味のあるパテに乾燥パプリカの甘味と菜の花の苦味、バルサミコ酢の酸味がバランス良く混じり、ワインや日本酒に合う一皿になりました。