お客様からのご予約でクリスマスオードブルをお作りしました。今回のご注文は「おせち料理のようにそのまま食べられるもの」でしたので伝統的で素朴なスペイン料理にそれぞれ何かしらのエッセンスをひとつ足す「スペイン料理＋1」というテーマでご用意しました。

少し長くなりますが10種類の料理全てを説明致します。

①「トルテ デ トルティージャ」は、新じゃがいも「出島」と玉ねぎを使ったシンプルなスペイン風オムレツの上をケソ デ バルデオン（スペインの青かびチーズの1種で楓の葉で巻いて保存する）、サワークリーム、生クリームを合わせたものでコーティングした料理です。

②「牡蠣と柚子のエスカベーチェ」は、揚げた広島県産牡蠣や蒸した海老、生の帆立をマリネ液に漬けこんだ料理です。三ツ判山吹や白醤油といった愛知県の調味料を使いマリネ液を作っています。

③「仔羊と冬野菜のチリンドロン」は、オーストラリア産ラム肩肉と冬野菜を白ワイン、生ハム、パプリカパウダーなどと煮込んだ料理。下仁田ネギ、芽キャベツ、海老芋、バターナッツスカッシュなど多くの野菜を使っています。

④「羅臼産バカラオのブニュエロ」は、羅臼産の鱈を塩漬け、乾燥させたものにじゃがいも、にんにくなどを合わせ種を作り、それにメレンゲを混ぜて揚げた料理です。

⑤「白花豆のファバーダ」は、北海道産の白花豆とイベリコ豚のチョリソ、モルシージャなどの腸詰を合わせてじっくり煮込み、サフランで香り付けした料理です。

⑥「インカのめざめのエンサラダルサ」は、インカのめざめ、アンチョビ、オリーブ、鰹などを使い、自家製マヨネーズでまとめたいわゆる「スペイン風ポテトサラダ」です。

⑦「奥三河どりのパテとマッシュルーム」は、マッシュルームの軸を取りオーブンで焼いたものの中に鶏もも肉のパテ、生ハムを詰め込み、コリアンダーのソースを合わせた料理です。

⑧「ミナミマグロと蓮根のエンパナディージャ」は、パートブリゼ（練り込みパイ生地）の中に、ミナミマグロと備中蓮根のバルサミコ風味、ドライトマト、黒オリーブを包みオーブンで焼いた料理です。

⑨「白糠産鹿肉のロースト」は、鹿の外もも肉のローストに、赤ワイン、フォンドボー、乾燥デーツ、ポポーのピュレを使った甘酸っぱいソースを合わせています。

⑩「紫娘ムースの花」は、紫芋と鶏のスープ、生クリームを使ってムースを作り、バラ型に鶏のスープ、ヤーコン、ムースを入れて固めた一品です。こちらは凍らせて保冷材の役割も持たせました。

以上10品です。

「スペイン料理＋1」 な点はそれぞれの料理で素材であったり調理法であったりと色々あります。

例えば⑤は本来「ファベス」と呼ばれる大きな白いんげん豆を使った料理なのですが、新物の北海道産白花豆を使ってイベリコ豚の腸詰と合わせています。

例えば⑦は本来マッシュルームの中に生ハムやにんにくを詰めて鉄板で焼く料理ですが、「常温で召し上がる」ということを前提に、まずマッシュルームだけに塩を振りオーブンで焼き、出てきたエキスと鶏のパテを絡めてマッシュルームに戻しています。

ともあれ細かいことは置いておき、お客様が召し上がる際に何より楽しんで召し上がって下されば嬉しいと思いお作りしました。

良いクリスマスをお過ごしいただければ幸いです。