苺の季節です。こちらで「章姫」をよくみかけますが、以前のお店で使っていた奈良県産のものよりも本来の形である円錐型に近く、甘味が強いように思います。
その「章姫」を主体として、苺とクリームチーズのアイスマカロン、苺のクレーム・ムースリーヌ、苺のセミコンフィ、苺のピュレなど様々な苺のデザートを合わせた一皿を今月のデザートにしました。
週替わりのケーキのコンセプトが「シンプル」であるなら(最近シンプルではなくなってきていますが)、月替わりのデザートは「動的」がコンセプトです。
私はパティシエではなく料理人であり、製菓は料理と同じく全て独学です。そのためプロのパティシエと比べると、ケーキの組み立て方や素材の扱い方で技術的に劣ります。
しかし所謂「アシエット・デセール」と呼ばれるコース料理の最後に出てくるようなデザートについては少し見解が異なります。私の中でそれは「製菓と料理の間にあるもの」です(ある意味『アントルメ』と呼べます)。
それは人が持ち帰ることに制約されず、自由な発想で作ることができます。極端な話、提供してから6秒で壊れても構いません(お客様がそれで満足してくだされば)。
このような発想は料理人の得意な分野でもあります。例えば今回作るマカロンは中がアイスクリームです。冷蔵するとアイスクリームが溶け、冷凍するとマカロンコックが別物になるため販売は不可能です。こういう「動的」なデザートだからこそ提供できるものです。
「動的」なデザートにおいて、パティシエと料理人の差がどの程度埋まるのか埋まらないかは本人次第でしょうが、少なくとも私はこの「動的」なデザートを作ることがとても好きです。 800円